suncatch’s blog

八ヶ岳で深呼吸

「このたたかいが終わったら」覚和歌子さんの詩です

戦場カメラマン・渡部陽一さんの朗読CD「Father'sVoice(ビクター/2013)」のために書いた詩。ちなみに渡部さんと私は10年違いの同じ誕生日です。

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「このたたかいが終わったら」

このたたかいが終わったら
友だちをさそっておむすびを持って
町でいちばん高い山にのぼろう
はればれと見下ろす
生まれたばかりの町の
とどろく産声を聞こう
おしまいまでやりとげた充実で
胸をいっぱいにしよう

このたたかいが終わったら
黙って誇ることにしよう
まだだれも見ぬ地平線を描くという
難しいほうの道を選んだこと
失ったものより今あるものに
こころをそそぐと決めたこと
あえぎながら歩いても
小さな花を見のがさず
ありがとうねと声をかけたこと

小さな吐息で遠のくほどに
夢は見失いやすい
知らない道の
草を分け入った先で
まだ負けていない自分に
会えますように

このたたかいが終わったら
大きな声でうたおう
消えいる心を支えてくれた歌
それよりももっと大きな声で
これでもかと泣こう
胸をしばっていたかなしみを空に放して
今度こそ夢も見ないでぐっすりと眠ろう

©️ KAKU Wakako
「Father's Voice」(ビクター/2013)
「はじまりはひとつのことば」(港の人刊/2016)より
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